あなたは何問正解できる?〜フィジー慣用句クイズ〜

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文化

 皆さんは日常の中でことわざや慣用句を使っていますか?最近の若者はことわざや慣用句をあまり使わなくなってきていると言われていますが、実はことわざ・慣用句を知ることでその国の文化や社会規範が見えてきます。
 そこで今回は、フィジーの慣用句をクイズで出題し、そこから見えてくるフィジーの文化について紹介します!
 クイズを通して一緒にフィジー文化を学びましょう!

ことわざ・慣用句は文化の鏡

 クイズを始める前に、ことわざ・慣用句にはどのような文化的役割があるのかについて説明します。

 まず、ことわざとは古くからその国に伝わる人生の教訓や知恵を表したことばのことをいい、慣用句とは比喩表現を用いて日常の行動や習慣を表したことばを指します。とは言っても、ことわざと慣用句に明確な判断基準はなく、区別することは難しいです。

 

 そんなことわざ・慣用句ですが、国や地域で表現が異なるため、その土地の文化を象徴することばとされており、国によって正反対の表現が存在したり、同じ意味でも言い回しが異なるものも存在したりします。

 例えば、日本には「出る杭は打たれる(意味:目立つ人は非難される)」ということわざがありますが、アメリカでは、「The squeaky wheel gets the grease.(直訳:きしむ車輪は油を差される)」 つまり「言いたいことがあるならはっきり言え」という日本とは逆の意味のことわざがあります。

このように、これらのことわざには、周りに同調するのがよしとされる日本の文化と、はっきりと物を言うのがよしとされるアメリカの文化が反映されていると言えます。いわば、ことわざ・慣用句はその地域の文化を映す「鏡」のような役割を担っているのです!

 では、フィジーにはどのような慣用句があるのでしょうか?また、フィジーの慣用句からどのような価値観が見えてくるのでしょうか?  

フィジー慣用句クイズのはじまりです!!

フィジー慣用句クイズ

 

 それでは第1問!

“Qalova uaua na moka”

 日本語で「高波で魚取り網に向かって泳ぐ」という直訳の慣用句ですが、これはどんな意味だと思いますか?

 

 A 他の人のために自分を犠牲にすることは評価される

 B あえて危険を犯すことで良い成果を得られる

 C 不適切な時期に何かをやることはリスクが伴う

 

 

正解は……… C!!

 これは、「不適切な時期に物事を進めるのは危険が伴い良くないよ」ということを「危険な時期に海で泳いだりしたら魚取り網に引っかかってしまう」という比喩を用いて表現したフィジーの慣用句です。

 日本にも「鉄は熱いうちに打て」という似たような意味のことわざがありますが、日本のことわざは、いざというときには「鉄が冷める前に急いで」というニュアンスが強いのに対し、フィジーの場合は、いざというときが来るのを「波が鎮まるまでゆっくり待て」というニュアンスが強いように感じます。

 このように、この慣用句には何事も早く済ませなければならないという日本の価値観と比べ、ちょうどいい頃合いをゆっくり待とうというフィジーのゆったりとした時間的価値観が反映されていますね!

Q2 波が高くなるとより高くへ泳ぐ…??

 続いて、第2問!

“Toro cake na ua, toro cake na  kolokolo”

 日本語で「波が高くなると泳ぐ人はそれよりも高いところへ行こうとする」という直訳の慣用句ですが、これはどんな意味でしょう?

 

 A 周りの人の能力が高いと自分も周りと同じくらい成長しようとする

 B 若者が成長すると傲慢な態度で年長者の言うことを聞かなくなる

 C 立場が上になるにつれてそれに伴う責任も重くなる

 

 

正解は……… B!!

 これは、少しわかりにくいかも知れませんが、「波よりも高くへ行こうとする」つまり「自然に抗う」すなわち「年功序列に従わず傲慢な態度をとる」ということを比喩的に表現したフィジーの慣用句です。

 日本にも「若気の至り」や「老いたる馬は道を忘れず」など、年少者よりも年長者の方が賢明な判断ができるという意味のことわざや慣用句があるように、一般に年功序列の価値観はアジア地域の国に多いとされています。

 この点、フィジーはアジアではなくオセアニア地域ではありますが、私たちアジア人と同じように、年上を敬う考えを持っているのです。

Q3 ココナッツは根っこの近くに落ちる…??

 続いて第3問!

“Lutu na niu, lutu ki vuna”

 日本語で「ココナッツの実はその木の根っこの近くに落ちる」という直訳の慣用句ですが、これはどのような意味だと思いますか?

 

 A 同じ趣味を持つ人同士で集まる

 B 何事も時の流れに身を任せるべきである

 C 子の性質は親の教育に由来する

 

 

正解は……… C!!

 これは、「子どもの性格や態度は親のしつけや教育に影響される」ということをココナッツの実と木を用いて比喩的に表したフィジーの慣用句です。

 日本にも「蛙の子は蛙」や「親の背を見て子は育つ」など、親と子はよく似た性質を持つという意味のことわざがありますよね。

 第2問同様、案外日本と似たような価値観も持っているフィジーですが、「ココナッツ」という言葉を用いるのが南国フィジーならではの表現です!

Q4 熱いヤム芋を食べるよう…??

 まだまだ続きます!それでは第4問!

“E vaka e kana uvi kataka” 

 日本語で「熱々のヤム芋を食べているようだ」という直訳の慣用句ですが、これはどんな意味でしょうか?

 

 A 何もできずにあわてふためいている

 B 何を食べているのか分からないほど味がない

 C 早口すぎて何を言っているのか分からない

(画像:www.msn.com/en-xl/asia/life-arts/whats-the-difference-between-yams-and-sweet-potatoes/ar-BBWuhFv?fullscreen=true#image=1

 

正解は……… C!!

 これは、「しゃべるのが早すぎて何を言っているのか分からない」ということを熱々のヤム芋をはふはふと食べる様子を用いて表現したフィジーの慣用句です。ちなみに、ヤム芋とは日本の長芋のような芋でフィジーをはじめとする南国諸国において伝統的な食べ物の1つとなっています。

 また、この慣用句から、フィジー人は早口を好まないということも分かりますね!実際に、フィジーの人はゆったりとした口調で話してくれるので、海外経験がない人でも安心して会話をすることができます。

 このように、1つの表現からフィジーでの食文化や習慣が見えてくるのは、ことわざや慣用句の面白い特徴です!

Q5 プランテインの皮をむくよう…??

 ついに最終問題!第5問!

“Voci vaka vudi”

 日本語で「プランテインの皮をむくよう」という直訳の慣用句ですが、これはどんな意味だと思いますか?

 

 A 話が簡潔で分かりやすい

 B 物の扱いがていねい

 C 人に対して優しい

(ヒント:プランテインとは、加熱用バナナのことです!)

 

 

正解は……… A!!

 これは、「話が簡潔で分かりやすい」ということをプランテイン(加熱用バナナ)の皮が簡単にむける様子に喩えて表現した慣用句です。このほかに、この慣用句は「物事が簡単にうまくいく」という意味でも使われます!

 日本では、若干意味は異なりますが、さっぱりとした性格を竹がスパッと割れる様子に喩えて表現した「竹を割ったような性格」という慣用句がありますよね。

 日本では昔から竹がよく使われていたように、フィジーではバナナやプランテインがとても身近な存在です。実を食べる以外にも、葉をお皿代わりに使ったり、葉で具材を包んで調理したりと、バナナやプランテインはフィジー文化には欠かせないものの1つなのです。

まとめ

 いかがでしたか?全問正解することはできましたか?

 今回のクイズで出題したように、フィジーの慣用句には波やココナッツなど南の島ならではの表現が多く見られます。

 このように、日本ではあまり使われなくなってきていることわざ・慣用句ですが、世界のことわざ・慣用句を学ぶことで、その土地の価値観や社会規範が見えてくるのです。日本の表現と比較することで、文化の違いをことばから分析することもできますね!

 フィジーの慣用句を知ることで、フィジーの文化や価値観を垣間見れたのではないでしょうか?

参考

Proverbs Reveal Culture Diversity
Fijian Idioms and Proverbs Compiled by Joseph Veramu

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