フィジーの歴史を学べる?日本であまり知られていない憲法記念日とフィジーデー

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2020年と2021年のフィジーにおいて、5月、6月、7月、8月(変動する祝日がこれらの月にある年もある)は祝日がありません。
9月、10月にある祝日にはフィジーの「歴史」が深く関わっています。他の祝日同様国全体でお祝いされ、フィジーの歴史について知ることができます。

今回の記事では、日本ではあまり知られていないフィジーの憲法記念日とフィジーデーについて詳しく紹介していきます。9月もしくは10月にフィジーを訪れた際は、日本人も参加のできる祭典が多くあるので、貴重な経験として参加してみてはいかがでしょうか。

フィジーの祝日(9月)  Constitution Day

毎年9月7日にあるConstitution Day(憲法記念日)は、フィジーの国民にとって重要な祝日です。この祝日は2013年に制定された憲法を記念して設けられており、2016年に初めて祝日として学校や仕事が休みになりました。
今年の場合は、9月7日が月曜日であるので問題はありませんが、土曜日に祝日がある場合は月曜日が振替休日として学校や仕事が休みになります。 現在のフィジーの憲法は独立以降4つ目のものであり、憲法で明示されている内容をめぐってフィジー系住民とインド系住民は対立をしてきました。

現在の憲法記念日は9月7日に設定されていますが、今後新しい憲法が制定される可能性も大いにあり、新しい憲法が制定された際には憲法記念日の日付も変わることになります。

憲法制定の歴史と憲法記念日を巡る現在

憲法制定の歴史

現在のフィジーの憲法は、独立以来4つ目となっています。初めての憲法は1970年にイギリスから独立した直後に制定され、少数派となっていたフィジー系住民に対して政治的優位性を与えると明示されました。その後の選挙でインド系住民が政権を握りますが1987年にフィジー系住民によってクーデターが起こされ、政権を奪還するとともに1990年に新しい憲法が制定され、フィジー系住民の優位性がさらに高まりました(国家の首相は必ずフィジー系住民であるなど)。

 

この憲法に対しては人口の半分を占めていたインド系住民から反対の声が挙がり、憲法の見直しとして1997年に新たな憲法が制定されました。このことでインド系住民も首相になることができるようになり、インド系住民から歴史上初めて新しい首相が誕生しました。そして、2013年に制定された4度目の憲法にはインド系住民とフィジー系住民が平等に扱われることが明示されました。

2013年の憲法制定と賛否両論

2013年に制定された憲法に対しては反対の意見もあり、1997年に制定された憲法に戻すべきであるとの声もあります。反対派は、選挙のシステムが不平等であり、すべての国民の人権が平等に扱われていないことを主張しています。反対に、現在の憲法に対しての賛成派は、現在の憲法がすべての国民の総意のもとで作成されており、選挙権を18歳に引き下げたことで国家の経済が良くなったと主張しています。

 

2013年に制定された憲法を巡っては現在も賛否両論があり、憲法記念日を現在の9月7日に認めない国民もいます。主に反対派からは、1997年に憲法が制定された日付から7月27日を憲法記念日とするべきであるとの声があります。

 

このような現状ではありますが、毎年憲法記念日である9月7日には憲法賛成者によって祝福行事が行われることもあり、憲法記念日に際して演説も行われています。

フィジーの祝日(10月)  Fiji Day

フィジーの祝日の中でも最も多くの国民に重要視されているのが、毎年10月10日にあるFiji Dayです。Fiji Dayは日本でいう建国記念の日であり、1874年におけるイギリスへのフィジーの土地の割譲、1970年におけるイギリスからの独立(フィジーの誕生)をお祝いする日です。Fiji Dayの直近一週間はフィジーウィークとされており、宗教や文化的イベントが連日連夜行われています。 今年は10月10日が土曜日であり、仕事や学校などが他の祝日同様お休みになります。

フィジーの歴史

1643年にオランダ人冒険家であり、伝説の南部大陸を探していたタスマンによってフィジーは発見されました。その後、1874年10月10日にフィジーはイギリスによって植民地化されました。植民地化された96年後の1970年10月10日にフィジーはイギリスから独立し、主権国家となりました。それ以降、植民地化された日と独立された日である10月10日はフィジー国民にとって重要な日とされており、盛大なお祝いがされています。

 

日本人も参加できる?Fiji Dayに行われるイベント

Fiji Dayのお祝いはFiji Day直近の一週間から当日(Fiji Week)にかけて国全体で行われています。 Fiji Dayでは、二大民族グループであるフィジー系住民とインド系住民のを含む国民全体の結束力、宗教及び文化の多様性がお祝いされます。

キリスト教徒、イスラム教徒、ヒンズー教徒はそれぞれの宗教ごとに自分たちの宗教の伝統に対してお祝いをし、宗教の儀式や文化や伝統的パフォーマンスが各地域で行われています。 宗教ごとに行われる行事以外にも、文化や宗教行事がフィジー系住民とインド系住民によって合同で行われ、キリスト教徒、イスラム教徒、ヒンズー教徒が共にパフォーマンスをしているイベントも数多くあります。

 

メインイベント

1874年にフィジーのイギリスへの譲渡証書の調印式が行われたかつての首都であるレブカ、そして現在の首都であるスヴァでは毎年 Fiji Dayのメインイベントが行われます。

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レブカ

Fiji  Dayの歴史的側面に焦点を当てた祭典があり、フィジーの住民が民族衣装(1874年当時の服装に似せる)に身を包み、当時の歴史的な調印式の再現が行われます。

 

スヴァ

大統領、首相、政府官僚、一般市民がアルバート・パークに集まり、大統領や首相などの政府要人による演説が行われます。また、軍事パレード、国歌斉唱、儀式として大砲の発砲が行われ、イギリスへの譲渡(1874年)とフィジーの独立(1970年)が盛大にお祝いされます。

 

フィジーの歴史について深く知る上でスヴァとレブカで行われるメインイベントは絶好の機会であり、充実した一日を過ごすことができます。Fiji  Day辺りにフィジーへ渡航した際は、参加してみてはいかがでしょうか。

アルバート・パーク

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まとめ

 

9月、10月にあるフィジーの祝日は、「フィジー」を象徴する祝日となっています。 今年の9月、10月は新型コロナウイルスの影響でフィジーに渡航することは難しい状況にあると思いますが、2021年も例年同様9月にConstitution Day、10月にFiji Dayがあり、各地で祭典が行われます。 マナーを守りながら、日本では経験することのできない祭典に参加してみてはいかがでしょうか。

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