フィジー留学にも必要?途上国渡航に必要な予防接種ワクチン

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 フィジー渡航予定の皆さん、もう予防接種は済ませましたか?
 フィジーに限らず、海外渡航の際には、日本ではかかりにくい病気に気をつける必要があります。特に、発展途上国への長期渡航には複数の予防ワクチンの接種が推奨されています。しかし、海外渡航用予防接種の多くは複数回継続して打つ必要があり、余裕をもって準備しなければなりません。
 そこで、今回は、フィジー渡航前に済ませておくべきワクチンに関する情報として、ワクチンの種類・接種回数・副反応・値段についてご紹介します。
 Free Bird ではワクチンの接種は必須ではありませんが、渡航において不安を感じられる方は今回の記事を是非参考にしてみてください。

途上国渡航には欠かせない予防接種ワクチン

 フィジーをはじめとする発展途上国では、日本と比べると、衛生環境があまり良くないのに加え病院の数が少ないです。
そのため、渡航予定の国でどんな感染症にかかりやすいのかを事前に調べておく必要があります。

 渡航前に全ての感染症のリスクをゼロにすることはできませんが、リスクを下げる1つの手段として「予防接種ワクチン」があります。

 しかし、海外渡航用の予防接種ワクチンは、インフルエンザ予防ワクチンとは異なり、1回では終了しないものが多いです。つまり、1種類のワクチンでも期間を空けて何回か打つ必要があり、接種完了までにある程度の期間を確保しなければなりません。

 では、フィジー渡航に際して推奨されているワクチンにはどのようなものがあるのでしょうか?

フィジー渡航前に打つべきワクチンとは?

 世界には様々な感染症が存在しますが、フィジーで注意すべき感染症としては主に、「破傷風」、「A型肝炎」、「B型肝炎」、「腸チフス」が挙げられます。  以下では、それぞれの感染症の特徴とワクチンの情報について、4種類のワクチン全てを制覇した私がご紹介します。

破傷風

<感染経路・症状>

 破傷風は怪我をした傷口に土壌に存在する破傷風菌が入ることで感染します。破傷風菌は日本を含む世界中のどこの国でも存在しますが、途上国の場合は舗装されていない道路が多いため、特に注意が必要です。症状としては、手足の痺れ・痛み・痙攣・呼吸困難などが挙げられ、最悪の場合は死に至るケースも。破傷風の原因である怪我を全くしないということは難しいですが、予防接種で予防することができる感染症の1つです。

<予防接種の回数>

 日本で生まれた人であれば、破傷風のワクチンは定期接種(生後やらなければならない予防接種)の1つであるため、「4種混合ワクチン」としてすでに接種完了している場合がほとんどですが、まだ済ませていないという場合は計3回の接種が必要で、最終接種後の抗体は約10年持続します。ちなみに、接種したことはあるけどもう10年経ってしまったという方は改めて3回接種する必要はなく、1回のみ追加接種を行うことで再び約10年の効果を得ることができます。

 接種スケジュールは以下の通りです。

(参考:https://www.mmclinic.jp/yobou.html

 

<ワクチンの副反応>

 人によって差はありますが、稀にワクチン接種によって発熱・悪寒・倦怠感・頭痛・めまい・下痢などの副反応が現れることもあります。

<ワクチンの値段>

 破傷風ワクチン(国産):¥4,500(税抜)/回

A型肝炎

<感染経路・症状>

 A型肝炎は衛生状態の悪い食べ物や飲み物が口に入ることで感染します。フィジーでは基本的に水道水を飲むことができるので、水に関してはあまり心配はいりませんが、衛生状態の悪い国では水以外に氷にも気をつける必要があります。また、野菜・肉・魚介などの加熱不足によって感染することもあります。症状としては、発熱・倦怠感・嘔吐・黄疸などが挙げられますが、死に至ることは稀です。また、1度感染すると抗体が得られますが、短期滞在の場合でもワクチン接種が推奨されています。

<予防接種の回数>

 A型肝炎の予防接種ワクチンには国産ものと輸入ものがあり、国産と輸入で接種期間・抗体持続期間共に異なります。国産ワクチンは計3回の接種が必要で、最終接種完了後は約5年間抗体が持続します。それに対し、輸入ワクチンは計2回の接種で約10〜20年抗体が持続します。国産ワクチンでは2回目接種、輸入ワクチンでは1回目接種で約1年間抗体が持続するので、渡航前の目安として受けておくことをおすすめします。

 接種スケジュールは以下の通りです。

(参考:https://www.mmclinic.jp/yobou.html

 

 ちなみに、国産ワクチンと輸入ワクチンの違いは、抗原量と補償制度です。具体的には、輸入ワクチンは国産ワクチンの約2倍の抗原量を含むため抗体持続期間がより長くなります。また、国内で承認されている国産ワクチンは予防接種健康被害救済制度の対象ですが、輸入ワクチンは対象ではありません。「え?輸入ワクチンってなんかヤバイの…?」と思ったみなさん、心配はいりません!国内では未承認の輸入ワクチンですが、日本以外の多くの国では承認されており、万が一何かあった場合でも病院やワクチン会社が独自の補償制度を設けている場合がほとんどです。私も輸入ワクチンをバンバン打ちましたが何も問題はありませんでした!

<ワクチンの副反応>

 A型肝炎ワクチンの副反応として、注射した部分に腫れ・赤み・痛みなどが現れる場合があり、稀に発熱・頭痛・倦怠感・下痢・全身筋肉痛などの副反応が出ることもあります。

<ワクチンの値段>

 A型肝炎ワクチン(国産):¥7,500(税抜)/回

 A型肝炎ワクチン(輸入):¥12,500(税抜)/回

B型肝炎

<感染経路・症状>

 B型肝炎は無防備な性行為や医療器具の使い回しなどによって血液・体液を通して感染する病気で、アジアをはじめとする途上国を中心に世界各国で確認されています。症状としては、倦怠感・嘔吐・腹痛・黄疸などがあり、最悪の場合、肝硬変や肝臓がん、急性肝炎など、命に関わる病につながります。フィジーやその他の途上国への長期滞在を考えているのであれば、予防接種ワクチンでの感染予防をおすすめします。

<予防接種の回数・期間>

 B型肝炎ワクチンにもA型肝炎同様、国産と輸入があります。どちらも接種する回数は3回ですが、国産ワクチンの抗体持続期間は約5〜10年なのに対し、輸入ワクチンでは約20年抗体が持続します。また、A型肝炎とB型肝炎のワクチンを同時に接種することのできる「A・B型肝炎混合ワクチン」という輸入ワクチンもあります。このワクチンはB型肝炎ワクチンと同じ回数・期間で接種でき、抗体持続期間は約20年です。ちなみに、私はこの混合タイプのワクチンを接種してもらいました。いずれも2回目の接種で約1年間は有効なので、渡航前に最低でも2回の接種をおすすめします。

 接種スケジュールは以下の通りです。

(参考:https://www.mmclinic.jp/yobou.html

 

<ワクチンの副反応>

 B型肝炎ワクチンの副反応として、注射した部分に腫れ・赤み・痛みなどが現れる場合があり、稀に発熱・発疹・筋肉痛・関節痛・嘔吐・下痢・腹痛などが現れることもあります。

<ワクチンの値段>

 B型肝炎ワクチン(国産):¥7,500(税抜)/回

 B型肝炎ワクチン(輸入):¥7,500(税抜)/回

 A・B型肝炎混合ワクチン(輸入):¥14,500(税抜)/回

腸チフス

<感染経路・症状>

 腸チフスは衛生状態の悪い水や食べ物の中から感染することで発症する病気です。症状としては、高熱・吐き気・頭痛・腹痛・便秘・下痢などが挙げられます。腸チフスの症状は軽症から重症までまちまちですが、重症の場合は腸に穴が開き死に至るケースも。主にアジアを中心とする途上国で多く見られる感染症の1つですが、予防接種で予防することができます。

<予防接種の回数・期間>

 腸チフスのワクチンには輸入ワクチンしかありませんが、国際的に広く使用されているものなので安心です。また、他のワクチンと異なり、腸チフスのワクチンは1回の接種で完了するため1番手軽に接種できるワクチンでもあります。接種完了後は約3年間抗体を維持できます。

 接種スケジュールは以下の通りです。

(参考:https://www.mmclinic.jp/yobou.html

 

<ワクチンの副反応>

 腸チフスワクチンの副反応として、注射部分に痛みや腫れが出る場合があり、稀に頭痛・発熱・倦怠感・吐き気などが現れることもあります。

<ワクチンの値段>

 腸チフスワクチン(輸入):¥9,500(税抜)/回

接種スケジュールのまとめ

 以上、紹介したワクチンの接種スケジュールをまとめるとこんな感じです。↓

(参考:https://www.mmclinic.jp/yobou.html

 このように、いずれのワクチンも接種完了までにある程度の期間が必要となってきます。A型肝炎・B型肝炎のワクチン接種完了までには1年〜1年半程度かかりますが、渡航までに時間がないという方は2回目(A型肝炎輸入ワクチンの場合は1回目)までの接種でも約1年間の効果を得られます。それでも最低4週間は必要なので、予防接種が必要と思われる方は余裕を持った行動を心がけましょう!

渡航用ワクチンならトラベルクリニック

 

 ここまで、フィジー渡航に際した推奨ワクチンをご紹介しましたが、「ワクチンってどこで打てば良いの?」と疑問を持つ方も多いと思います。
そこでおすすめなのが「トラベルクリニック」!あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、トラベルクリニックとは、これから旅行する人や旅行を終えた人を対象にした診療科で都心部を中心に多く所在します。トラベルクリニックでは、主に旅行に関連する治療や予防接種を行っているので、渡航用ワクチンの接種を受ける方にはおすすめです!

 実際に、私自身も途上国渡航前にトラベルクリニックで予防接種を受けました。そこで感じたトラベルクリニックの良さについて2点お話しします。

<その1:予防接種の相談に乗ってくれる>  まず、トラベルクリニックでは、渡航先・滞在期間によってどのワクチンを接種すれば良いのかを提案してくれます。また、ワクチンごとに接種期間や接種間隔が異なるため、自分でスケジュールを立てるのは難しいのですが、トラベルクリニックでは接種スケジュールも提案してくれるので安心です。
ただし、その際に今までどの予防接種を受けたことがあるのかを確認する必要があるため、母子手帳の持参は必須です!(私は初診で母子手帳を忘れ、追い返されました…泣)

<その2:英語の予防接種記録がもらえる>  また、トラベルクリニックでは英語の予防接種記録カード(Immunization Record)がもらえます。病院によって異なるかもしれませんが、私の通っていたところでは無料でもらえました(ただし、英文証明書は有料)。このカードがあると、渡航先で病院に行った際にどの予防接種を済ませているかを提示することができるので便利です。  そんなトラベルクリニックですが、特にオフィス街にある病院では、海外出張予定の会社員で混雑していることが多いです。そのため、あらかじめ予約を入れてから行くことを強くおすすめします。

 ここで少し余談ですが、予防接種ワクチンは同じ日に数種類のワクチンを打つことができます(ただし、既に別のワクチンを接種している場合は2〜4週間空ける必要あり)。
実際に、私は1回の診察で3種類のワクチンと血液検査も行ったため、1日で計4本も注射されました!友人の中には1日で6本打ったという強者も…笑 ちなみに、注射の痛さについては個人差はありますが、私の場合、腕に筋肉痛のような痛みが1〜2日現れる程度でした。

ワクチンでは予防できない感染症もある

 フィジーで注意すべき感染症の多くはワクチン接種によって予防することができますが、ワクチンがない感染症もあり、注意が必要です。  ワクチンがない感染症の代表例として、蚊を媒介とするデング熱が挙げられます。

デング熱は感染するとインフルエンザに似たような症状に加え、赤い皮疹が出ます。デング熱を予防するには、虫除けや長袖着用など蚊に刺されないための対策をしましょう。最近では虫除け効果のある素材でできた洋服も販売されているのでそちらもおすすめです。

 また、南国で暖かいイメージのフィジーですが、朝と夜の気温の差が大きいため、風邪にも注意が必要です。渡航の際には長袖の上着を持参するほか、あらかじめ風邪薬を持っていくことをおすすめします。

まとめ

 いかがでしたでしょうか?

 予防接種ワクチンは保険対象外であるのに加え、複数回打つ必要があり、結構お金がかかってしまいます。
これらのワクチンはフィジー入国時の義務ではなく任意の接種ですが、接種することで海外旅行の安心材料の1つにはなります。今後フィジー以外にも海外、特に途上国へ渡航する可能性があるのであれば、予防接種を済ませておいて損はありません。

 また、感染症の種類によっては国産ものと輸入もののワクチンがありますが、病院によって取り扱うワクチンの種類が異なるため、受診前に確認が必要です

。  繰り返しにはなりますが、渡航用ワクチンは複数回接種しなければならないため、接種のためにある程度の期間を確保する必要があります。安全な海外渡航のために、余裕を持って準備しましょう!

  参考

外務省
フィジーの感染症
破傷風ワクチン
A型肝炎ワクチン
B型肝炎ワクチン
A型肝炎・B型肝炎混合ワクチン
腸チフス

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